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不埒な夢。

女性向け小説ブログ。年齢制限作品込みにつきご注意願います。

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(SS・R18指定)おにくのいろ、おはだのいろ

この作品は性描写を含みます。
苦手な方、18歳未満の方は、閲覧をご遠慮ください。





春の新作なのだと言って、お姉ちゃんがリップグロスを見せびらかしに来た。
デパートの化粧品売り場で買ったのだとかで、パッケージにはいかにも高そうなエンブレムが入っている。
いいでしょ、と自慢しながら、私が座っている勉強机の隣、姿見に向かってそれを試し始めた。
複素数平面の問題がなかなか解けなかった私は、とくに返事もしないで放っておいた。
何とか言いなさいよ、と、強い口調で言われてようやく振り向く。
グロスは淡いようで発色がよく、お姉ちゃんの唇をぴかぴかに光らせている。
新鮮そうでいいね、と感想を言うと、お姉ちゃんは馬鹿にしたように鼻で笑った。
私がスーパーに並んでいる、お肉の切り身を想像したのがすぐにわかったらしい。
そのタイミングで、隣の部屋で着信音。
あ、トーヤだ、と、浮かれた声音を一つ残し、ようやくお姉ちゃんは出ていった。

トーヤというのは、お姉ちゃんの今の彼氏の名前だ。
厳密には、今付き合っている何人かのうちの一人の名前、かもしれない。
お姉ちゃんは美人で、恋愛っぽいことや、エッチなことが好きなのだ。
五歳年下の私はと言えば、残念ながら、異性にもてはやされるような容姿はしていない。
根っからの「女」であるお姉ちゃんにとって、それはとっても都合のよいことだったらしい。
事あるごとに自分と私を比較して、自分の方が優れてる、っていうことばっかり言ってるから。

お姉ちゃんは私のことが気に入らない。
私が親や先生に褒められるのが気に入らない。
私に仲良くしている友達がいることが気に入らない。
私が何か、自分の目がねにかなうようなものを持っているのが気に入らない。

お父さんとお母さんの知らないところで、意地悪をたくさんされた。
いちいち覚えているのが面倒なので、最近は無視するか、気にしないことにしている。
それでも先週、エナメルのハンドバッグを取られたのは腹が立った。

あれは、前からずっと欲しいと思っていたものだった。
お小遣いをためて、友達と約束して、アウトレットでやっと買った。
見つかると何を言われるかわからないから、クローゼットにしまっておいた。
なのに、どうしてわかったのだろう。
週末のデートで使うんだって、勝手に私の部屋から持ち出していたのだ。
大事にしているからだめだって言ったのに、あんたより私の方が似合う、だって。
最初はお母さんも叱ってくれた。
妹のものを取り上げるなんてやめなさい、って。
なのに、姿見の前でお姉ちゃんがハンドバッグを持ってるところ見て、「あら、いいわね」だって。
なしくずしに、ハンドバッグはお姉ちゃんの手元にいってしまった。
可哀想だからって、お父さんがあとでこっそり一万円をくれた。

結局いつもそうなのだ。
「お姉ちゃんの方が似合うもの」は、全部わたしの手元からなくなっていく。
それで、散々使い古してボロになったころに、ごみ箱がわりに私の部屋に投げていく。
そのくせお母さんたちにはこう言うのだ。
「私よりマユのことばっかりかわいがってる」って。
呆れているお母さんは、大して何も言ってくれない。



トーヤさんにその話をしてしまったのは、多分、微妙に溜飲が下がりきってなかったからだと思う。
半裸で隣に寝そべって、頬杖をついたトーヤさんは、ああ、ぽいぽい、と笑った。
「ああ、ぽいぽい」=「ああ、アイツならやりそう」。
で、「みひろはやたらお姫様だからな」だって。
さすが彼氏だと思った。
お姉ちゃんのことを、よくわかっている。

あの日のお姉ちゃんの言いぐさを思い出して、何となくむくれてしまっていると、トーヤさんはにやけた顔のまま、小さく私からキスを盗んだ。
気にするなって、マユちゃんの方が若いんだから、だって。
恥ずかしくなった私は服を着たかったけど、まだだめだって腰を抱えられて、ベッドの中に連れ戻された。
もうちょっとだけ触らして、と、背中から抱きしめたまま、トーヤさんはなんとなく胸を揉んでくる。
トーヤさんの手の奥で、心臓が興奮している。
トーヤさんとこういうことになってからしばらく経つけど、なんだか、まだ慣れることができない。


「俺、マユちゃんとももっと仲良くなりたいんだけど」

トーヤさんの最初の口説き文句はこれだった。
どういう意味か分からなかったので、適当に返事をしておいたような気がする。
そうしたら、最近できたショッピングモールに行かないか、って誘われた。
お姉ちゃんの都合がつかなかったんだそうだ。
行ってみたいところだったので、誘いに乗った。
その日は意外に楽しく過ごせて、それでその後も何度か会うようになって、いつのまにかこうなっていた。
トーヤさんの本名さえも知らないうちに、あれよあれよという間に、私は「初めて」をトーヤさんに盗られていた。
最初のうちは痛かったけど、四回目で頭が吹っ飛んだ。
誰にも見せたことのないようなとんでもないことになってしまって、どうしようと思った。
慣れるとみんな似たようなもんだよ、と、顎の汗を手の甲で拭いながらトーヤさんが言っていた。
「ふしだら」は気色悪くて気持ちいいことなんだって、それでようやくわかった。
色々と合点がいった私は、事が済んだ後でトーヤさんに尋ねた。
若い子といやらしいことがしたかったんですか、って。
トーヤさんは変な笑い方をして見せただけで、少し離れたところで渋い匂いの煙草を吸っていた。

家族が思っているよりもお姉ちゃんがふしだらだってわかったのは、これがきっかけだった。
こういうことを繰り返すうちに、トーヤさんが教えてくれたから。
お姉ちゃんには何人も「カレシ」がいて、その中にはお父さんと同じくらいの歳の人もいるらしい、って。
お似合いのカップルだったんだな、と思った。
お姉ちゃんと付き合いながら、私とこんなことを平気でするトーヤさんだって、私からしたら十分「そっちの世界」の人だもの。


脚の間が熱を持って潤み始めた頃、トーヤさんがそこに入った。
快感、って、とてもへんなものだ。
身体の力が抜けるようなのに、逆に硬直するようでもあるから。
トーヤさんは繋がったまま身体を起こし、私の脚を大きく開かせて、鏡でそこを見せた。
女の人は、老けるとここの色がくすむんだそうだ。
心許ない毛足の向こうに鮮やかな色味が見えて、頭にどっと血がのぼった。
色々我慢したくて、無理やり、どうでもいいことを考えた。
くすむという言葉から連想したのは、お姉ちゃんがいつも鏡台に散らかしている、高そうな化粧品のこと。
そばかすが目立つようになったとかって、リキッドファンデーションを小鼻になじませながらぼやいていたっけ。
若さなんて、どれほどの価値があるものか。
だれだって年は取るものだし、経験とかがあって落ち着いている大人の方が、青臭いよりもずっと格好いいのに。
それから、それから……ああ、もう。

生意気。

少し怖い声で呟き、私のささやかな抵抗を吹っ飛ばしたのは、やっぱりトーヤさん。
反応がかんばしくなかった私をいじめるのに、とんでもないところを触り始めたのだ。
きもちいいでしょ、と、耳元で囁かれて悲鳴が出た。
私は観念して目を閉じた。
直前に見たのは、トーヤさんにむき出しにされた自分のそこ。
体液にまみれてぬかるんだ「私」は、あの新作のグロスよりも、もっと鮮やかで濡れた色をしていた。



しばらくして、お姉ちゃんがトーヤさんの話をしなくなった。
会わなくなったということなのだろう、トーヤさんが教えてくれた通りだった。
お姉ちゃんは、「一人と終わるとまるで最初からいなかったかのように、そいつの話をしなくなる」って。
別れたの、と、トーヤさんに聞こうと思ったがやめた。
どうでもいいことだった。

お姉ちゃんの口からトーヤさんの名前が出なくなってからも、私は何度かトーヤさんと会っていた。
厳密には、「トーヤさんと寝ていた」。
年端もいかない相手をたぶらかしている罪悪感があるようで、たまにトーヤさんは、私の身分じゃ手が出ないようなところに連れて行ってくれた。
何か欲しいものはないかと聞かれたとき、形が残るものはいつお姉ちゃんに見つかるかわからないから困る、って答えたら、そういうことになった。
ただひとつだけ、どうしても欲しくておねだりしたものがある。
それは、トーヤさんが持っていた懐中時計。
鷲だか鷹だか、なんだか格好いい彫刻がされているやつ。
手巻き式で、一日一回ねじを回しておかないと、すぐに止まってしまう代物。
大したものでもないよ、と言いながらも、トーヤさんは私にそれをくれた。
お姉ちゃんにばれないように、私はそれをいつも持ち歩いていた。
学校の通学カバンの内側、ファスナーつきのポケットの中に入れて。
それでもばれてしまったのは、私が学習塾に行っている間に、お姉ちゃんが私のカバンをあさったから。

家に帰るとお母さんとお姉ちゃんが、私の部屋で怒鳴り合っていた。
見覚えのある懐中時計が出てきたことに怒ったらしい。
お姉ちゃんは私の部屋を荒らしまくっていて、どうやらお母さんはその惨状を見かねたようだった。
いい加減にしなさいとお母さんに叱り飛ばされながらも、お姉ちゃんは私に、般若みたいな顔をして詰め寄った。
手にはトーヤさんの懐中時計。
昼ドラみたいなセリフを沢山言われた気がする。
人のものに手を出す泥棒猫だの、なんだの。
別に付き合ってるつもりはない、と答えたけれど、お姉ちゃんはすごい剣幕で嘘だと決めつけた。
ならどうしてこんなものを持ってるんだ、って。
欲しいって言ったらくれた、って答えたけど、また嘘だって大声を上げられた。
この懐中時計は、どんなにお姉ちゃんがトーヤさんにねだってもくれなかったんだと。
私は呆れてお姉ちゃんに言った。
自分が欲しいって言えば何でも手に入ると思ってるの、と。
お姉ちゃんは顔を真っ赤にして、私の頬をぶった。
お母さんがお姉ちゃんの名前を呼んで叱った。
お姉ちゃんはお母さんの方を見もしないで、髪の毛を振り乱して私を睨んでいる。
頬は痛かったけど、なんだかとても気持ちがよかった。
気が大きくなった私は言ってしまった。


似合えば盗ってもいいんでしょ。
お姉ちゃんそうやって、なんでも私から横取りしてきたじゃない。
あのハンドバッグ、今どうしてるの。
私がずっと欲しかった、大事にしてたあのバッグ。
欲しいものなんか買えばいいじゃん。
綺麗なんだから何人でも男作ればいいじゃん。
どうしていつも私から盗るの。
人から盗るってことは、盗られるってことだって、なんで思わなかったの。


激昂したお姉ちゃんは、また私をぶとうとして、振りかぶったところをお母さんに止められて、逆にお母さんにぶたれていた。
お母さんがそういうことをするとは思わなくて、びっくりしている間に、お姉ちゃんは金切り声をあげて泣き出した。
泣きながら部屋に戻り、あのバッグを手に戻ってきて、それを私に投げつけた。
バッグはあんまり使われていなかったようで、きれいなままでほっとした。
間髪入れずにトーヤさんの懐中時計も投げつけられた。
キャッチするのがこわくてよけたから、時計は引き出しの角にぶつかってしまった。


あんな男くれてやる。
どうなったって知らないから。


捨て台詞をぶつけてくるお姉ちゃんの顔は、ファンデーションがはげてひどいことになっていた。
まだらになった肌色の奥に、そばかすが見えた。
他にもなんだかわけのわからないことをひとしきりわめき、今度こそお姉ちゃんは私の部屋からいなくなった。
冷やしておきなさい、と、一言だけ私を心配し、お母さんはお姉ちゃんを追いかけていった。
床に投げ出された懐中時計は、ぶつかった衝撃のせいか、ねじを巻いても動かなくなってしまっていた。


後日、時計を壊してしまったことをトーヤさんに謝った。
事の顛末を話すと、気にしなくていいと言って、残念がる私にパフェをおごってくれた。
甘ったるい生クリームを舐めながら、トーヤさんに言っていた。

馬鹿だよね、お姉ちゃん。
私だって、女なのに。

きっと、私はとても意地悪な顔をしていたんだと思う。
トーヤさんが、面白ものを見たような、なにかを発見したときのような表情を作ったから。
ちょうどいいと思って、言葉に続けて質問を二つした。
どうして懐中時計をお姉ちゃんにはあげなかったのか。
お姉ちゃんとは、いつ別れたのか。
トーヤさんはまた、あのよくわからない笑みを浮かべただけだった。
でもその日、トーヤさんは避妊具をつけてくれなかった。
私はこわくて不安で、なのに熱くて気持ちがよくて、攻められながらものすごく大きな声を出した。


トーヤさんとの付き合いはしばらく続いたが、一年たって、実家から出て一人暮らしをし始めた頃から連絡が取りにくくなった。
こちらから接触を試みても、トーヤさんが返信をくれなくなったのだ。
どうしたのだろうと思っていたが、あんたも年頃なんだから、と、お母さんに化粧品を買いに連れて行かれた時に、何となく理由を悟った。
店員さんに、ファンデーションとリップグロスの色味を選んでもらっている時。
どことなくトーヤさんに似た人が、制服姿の女の子を連れて歩いているのを見て。

お会計を済ませてから、スマートフォンからトーヤさんの連絡先を消した。
隣でお母さんが、最近みひろがどうのこうのと喋っていた。

(SS・R18指定)週末、ツマ、待つ。


このお話には性的な描写を含みます。
エロ中心の話ではありませんが、
18歳未満の方や苦手な方は、閲覧をご遠慮ください。



週末、ツマ、待つ。


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(SS・R18指定)月並みなよろこびと、人並みのかなしみを


このお話には性的な描写を含みます。
エロ中心の話ではありませんが、
18歳未満の方や苦手な方は、閲覧をご遠慮ください。



月並みなよろこびと、人並みのかなしみを


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(SS・R18指定)たゆたうふたり


このお話には性的な描写を含みます。
18歳未満の方、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。



たゆたうふたり


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(SS・R18指定)溺れるふたり


このお話には性的な描写を含みます。
18歳未満の方、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。



溺れるふたり


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